
「うちの子にとって、本当に良い保育園・幼稚園ってどこなんだろう?」
そう考えるパパ・ママは、きっと多いのではないでしょうか。
毎日忙しい中で、自宅からの距離、開園時間、費用、給食の有無…。
つい親の利便性で園を選んでしまっていませんか?
もちろん、それらの要素も日々の生活を送る上では大切ですよね。
ですが、お子さんの成長にとって最も大きな影響を与えるのは、そこで日々触れる「保育の質」です。
子どもたちがどんな環境で、どんな大人たちと関わり、どんな活動をして過ごすのか。
それが、わが子の将来を大きく左右すると言っても過言ではありません。
でも、
「保育の質ってどうやって判断すればいいの?」
「何を基準に選べば良いの?」
と、漠然とした不安を抱えている方もいるかもしれません。
実は、世界中の研究者や教育機関が、この「保育の質」を客観的に評価するための、ある信頼できる国際的な指標を使っています。
それが「ECERS(幼児保育環境評価スケール)」です。
この記事では、ECERSを用いた研究結果をもとに、質の高い保育環境が子どもの成長にどんな良い影響を与えるのかを具体的に解説します。
そして、保育園・幼稚園選びで「本当に見るべきポイント」や、ご家庭でできる環境づくりのヒントまで、パパ・ママが納得して園を選べるよう、とっておきの情報をお届けします。
さあ、わが子にとって最高の環境を見つける旅を、一緒に始めましょう!
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ECERSの全体像を知りたい方は、こちらの記事【 保育環境評価スケール(ECERS)が示す「質の高い保育」とは?子どもの可能性を広げる保育園選び 】で詳しく解説。ぜひ参考にしてみてください。
世界が注目!ECERSってどんなもの?

世界中で「保育の質」を評価するために使われているECERS。これは一体どんなものなのでしょうか?
ECERSの基本:保育の「質」を測る、信頼できる国際的なものさし
ECERSは「Early Childhood Environment Rating Scale」の略で、日本語では「幼児保育環境評価スケール」と呼ばれます。
主に3歳以上の子どもたちが集団で過ごす保育の質を測るために、アメリカで開発された評価ツールです。
「ものさし」と聞くと、なんだか冷たい印象を持つかもしれませんが、ECERSは単に施設の設備だけを見るのではありません。
子どもたちが安心してのびのびと過ごせるか、心身ともに健やかに成長できるか、そして子どもたち一人ひとりの個性が尊重され、主体的に活動できる環境が整っているかを様々な角度から細かく観察し、評価します。
ECERSが世界中で広く使われているのは、その信頼性の高さと、保育の質の具体的な改善に繋がる有効性が科学的に認められているからです。
開発以来、時代の変化や研究の進展に合わせて何度も改訂され、最新版であるECERS-3では、子どもと保育者の「より深い関わり」や「子どもの主体的な学び」が重視されています。
ECERSの評価項目:子どもの成長を支える6つの視点

ECERSは、保育の質を細かく評価するために、以下の6つのサブスケール(評価項目)に分けられています。
それぞれの項目は、子どもたちの日々の生活や学び、育ちに直結する大切な視点ばかりです。
1.空間と家具:
園の中の空間は広すぎず狭すぎず、子どもが落ち着いて過ごせるか?
遊びや学びの場所が工夫され、家具は子どもの発達に合っているか?
例えば、隠れて一人で絵本を読めるようなスペースや友達と協力して大きな作品を作れるような場所があるか、などが評価されます。
2.養護:
子どもたちの健康と安全がしっかりと守られているか?
手洗いや排泄、食事、お昼寝などが、個々の子どものペースに合わせて、かつ衛生的に行われているか?
病気やケガへの配慮も細かく見られます。
3.言葉と文字:
子どもの言葉の発達を促す環境があるか?
絵本や文字のおもちゃが豊富にあり、子どもが自由に手に取れるか?
保育者が子ども一人ひとりの話に耳を傾け、豊かな言葉で語りかけているか?
子ども同士の会話を促す働きかけがあるか、なども大切なポイントです。
4.活動:
子どもたちが楽しめる、多様な遊びや学びの活動が提供されているか?
一方的に与えられるだけでなく、子どもたちが「何をしたいか」を選び、主体的に活動できる時間があるか?
例えば、図工、運動、歌、自然遊びなど、様々な体験ができる機会があるかが見られます。
5.相互関係:
子ども同士、そして保育者と子どもの間に、温かく、信頼関係に基づいた関わりがあるか?
保育者が子どもの感情を受け止め、個々の発達や個性を尊重しているか?
子どもたちが友達と協力したり、譲り合ったりする中で、社会性を育んでいるか、などが評価されます。
6.保育の構造:
園の一日のスケジュールやクラスの人数、保育者の配置、そして保護者との連携体制は適切か?
安定した保育運営が行われているか?
これらは、上記5つの評価項目が質の高い状態で保たれるための土台となる部分です。
これらの項目を、実際に保育の様子を観察し、7段階(1点が不適切、7点が非常に良い)で評価していきます。
この詳細な評価システムによって、その保育園が持つ「質の強み」や「もっと良くなるためのポイント」が具体的にわかるのです。
ECERSが示す「良い保育」が、子どもの「未来」をどう拓く?

ECERSを用いた世界中の研究から、質の高い保育環境が子どもの成長に、計り知れないほど大きな良い影響を与えることが、科学的に明らかになっています。
単に「良い気分で過ごせる」というだけでなく、子どもの認知能力、社会性、情緒、そして将来の学業や人生にまで、ポジティブな影響が長期にわたって及ぶことが示されています。
ここでは、ECERSの評価が高い保育環境が、具体的にどのように子どもの未来を拓くのか、最新の知見も交えながら詳しく見ていきましょう。
人間関係を築く力と豊かな感情を育む「社会性・情緒の発達」
質の高い保育環境の根底には、子どもたち一人ひとりが「自分は大切にされている」と感じられる温かい人間関係と、安心できる情緒的な安定があります。
ECERSの「相互関係」の評価が高い保育園では、次のような点が強く関連づけられています。
共感性と思いやりの向上:
保育者が子どもの感情を丁寧に受け止め、子ども同士の関わりを温かく仲介する環境では、子どもたちは自然と他者の気持ちを理解し、思いやりの心を育みます。
トラブル解決の経験を通じて、共感する力や、協力して問題に取り組む姿勢が養われるのです。
自主性と自己肯定感の醸成:
保育者が子どもの「やりたい」という気持ちを尊重し、自分で選んで行動できる機会が豊富な環境は、子どもの自主性を育みます。
成功体験を積み重ねることで、「自分はできる」という自己肯定感が高まり、新しいことにも意欲的に挑戦する姿勢が身につきます。
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レジリエンス(立ち直る力)の獲得:
失敗してもすぐに助け舟を出すのではなく、見守り、子どもが自力で解決しようとする過程を支える保育者の関わりは、子どもが困難に直面したときに諦めずに粘り強く取り組む力(レジリエンス)を育みます。
これは、小学校入学後の学習面はもちろん、人生の様々な局面で直面する困難を乗り越える上で不可欠な力となります。
長期的な社会的成功への寄与:
イギリスで行われた大規模な縦断研究であるEPPE(Effective Provision of Pre-school Education)プロジェクトでは、ECERS-Rの評価が高い就学前教育プログラムを受けた子どもたちが、小学校入学後も社会的相互関係において「自主性」と「協調性」に優れる傾向があることが示されました。
さらに、この影響は10歳代になっても持続し、友人関係や学校生活への適応にポジティブな影響が見られました。
これは、質の高い保育が、将来の良好な人間関係構築能力や、社会で協調して働く力といった「非認知能力」の基盤を築く上で極めて重要であることを示唆しています。
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学びの土台を築く「認知能力・言語能力の発達」
質の高い保育環境は、子どもの知的好奇心を刺激し、思考力や言葉の力を効果的に伸ばします。
豊かな語彙と表現力の獲得:
ECERSの「言葉と文字」の評価が高い環境では、保育者が積極的に子どもに語りかけ、子ども同士の会話を促します。
また、絵本や図鑑が豊富にあり、子どもがいつでも手に取れる環境は、語彙を増やし、複雑な表現を理解し、自分の考えを言葉にする力を育みます。
質の高い言葉のやり取りは、論理的思考力の基礎も築きます。
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問題解決能力と創造性の向上:
「活動」の評価が高い、つまり様々な遊びや学びの活動が提供され、子どもが自ら選択し、試行錯誤できる環境は、問題解決能力を飛躍的に向上させます。
例えば、積み木遊びで構造を考えたり、制作活動で新しいアイデアを生み出したりする中で、創造性や思考の柔軟性が養われます。
保育者が「こうしなさい」と指示するのではなく、「どうすればできるかな?」と問いかけ、子どもの試みを尊重する関わりが重要ですす。
数の概念・科学的思考の芽生え:
日常の遊びや活動の中に、自然な形で数や量、形に触れる機会がある環境は、小学校での算数や理科の学習の基礎を築きます。
例えば、ブロック遊びで数を数えたり、水遊びで量の変化に気づいたり、植物を観察したりすることで、抽象的な概念の理解や、観察力・探求心が育まれます。
就学準備と生涯にわたる「学びの土台」
質の高い保育環境は、小学校へのスムーズな移行を促し、子どもが生涯にわたって学び続けるための土台を築きます。
学習への意欲と集中力の向上:
遊びを通して学ぶ楽しさを経験する質の高い保育は、子どもが「もっと知りたい」「もっとできるようになりたい」という内発的な学習意欲を育みます。
また、好きな活動に没頭できる環境は、集中力や持続力を高め、小学校での座学にもスムーズに移行できる基盤となります。
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自己調整能力の発達:
集団生活の中で、自分の気持ちをコントロールしたり、ルールを守ったり、友達と協力したりする経験は、自己調整能力を高めます。
これは、小学校での集団行動や、先生の話を聞いて行動する上で非常に重要なスキルです。
長期的な学業成績への影響:
複数の国際的な研究(例: 米国のAbecedarian Projectなど)では、質の高い就学前教育を受けた子どもが、小学校だけでなく、中学校、高校と進むにつれて学業成績が優れる傾向が見られることが示されています。
さらに、高校卒業率や、成人後の所得にも正の相関があることが報告されており、幼児期の質の高い環境が、子どもの生涯にわたる可能性を広げる「最高の投資」としての価値を持つことを示唆しています。
日本におけるECERS研究の示唆:日本の保育の強みと、さらに伸ばせるポイント

日本でもECERSを用いた研究が進められており、私たち自身の保育の質を客観的に見つめる貴重な示唆を与えています。
全体的な質の水準:
千葉県内の認可保育所と認定こども園を対象とした最近の調査では、ECERS-3を用いた保育の質が評価され、全体的な平均点が過去の日本の調査と比較して良好な水準にあることが示されています。
これは、日本の保育が世界的に見ても一定の質を保っていることを示唆するものです。
保育者の信念の影響:
日本の研究でも、園長や保育士が「子ども中心主義」の教育観を強く持っている園ほど、ECERSの評価が高い傾向が見られました。
これは、単に設備を整えるだけでなく、保育者の「子どもをどう育てるか」という哲学や情熱が、質の高い保育環境を生み出す上で非常に重要であることを物語っています。
改善が期待される領域:
一方で、日本の保育現場ではECERS-3の「言葉と文字」や「活動」のサブスケールにおいて、平均スコアが他の項目に比べて低い傾向が指摘されています。
これは、子どもたちが自ら選び、深く探求できるような遊びの多様性や自由な活動の機会、そして、言語発達をより積極的に促すような環境や保育者の働きかけに、さらに工夫の余地があることを示唆しています。
例としての改善点:
一斉活動だけでなく、子どもが個々の興味に基づいて好きな遊びに没頭できる時間をもっと増やすこと。
絵本や文字に触れる機会を、日常の中でより自然に、かつ豊かに提供することなどが挙げられます。
これらの知見は、「うちの子に合った良い保育園」を探す上で、具体的な視点を与えてくれます。
単なる立地や費用だけでなく、園が提供する「質」に目を向けることこそが、子どもの豊かな未来を拓く第一歩となるでしょう。
これだけは知っておきたい!「質の高い保育」を見つけるチェックリスト

いよいよ、ECERSが示す「質の高い保育」のポイントを、あなたが実際に保育園や幼稚園を見学する際に役立つ具体的なチェックリストとしてまとめました。
短い時間でも、園の「質」を見極めるためのヒントとして活用してください。
見学時にチェック!ECERSの視点:
1.活動と遊びの充実度:子どもが夢中になれる環境か?
✅子どもの「主体性」が見えるか?
一斉に同じことをするだけでなく、子どもたちがそれぞれ好きな遊びを選び、夢中になっている姿が見られますか?
遊びの種類が豊富で、子どもたちが自由に選べるような環境が整っていますか?
✅遊びが深まる工夫があるか?
ただおもちゃが置いてあるだけでなく、子どもが遊びをさらに発展させられるような素材や、保育者の声かけがありますか?
例えば、ブロック遊びが単なる積むだけでなく、何かを創造するような工夫が見られますか?
✅屋外での活動はどうか?
園庭や近隣の公園などで、体を思い切り動かせる機会や、自然に触れる機会が十分にありますか?
2.保育者と子どもの関わり:温かく、丁寧なコミュニケーションがあるか?
✅子どもの目線に合わせているか?
保育者が子どもと話すとき、しゃがんで目線を合わせたり、優しい表情で接したりしていますか?
✅一人ひとりを大切にしているか?
大勢の中の一人としてではなく、その子の個性や気持ちを理解しようと、丁寧に声をかけたり、関わったりしていますか?
✅肯定的な言葉が多いか?
「ダメ」や「やめなさい」ばかりでなく、「こうしてみたら?」や「よくできたね」といった、子どもの行動を肯定し、励ます言葉が多く聞かれますか?
✅トラブル時の対応は?
子ども同士の揉め事があった時、すぐに解決策を与えるのではなく、子どもたちが自分で考え、解決できるよう見守り、促していますか?
3.言葉と学びの環境:自然に言葉に触れられる工夫があるか?
✅絵本や本が身近にあるか?
絵本コーナーは充実しており、子どもが自由に絵本を選んで読めるようになっていますか?
破れた本が放置されていませんか?
✅保育者の言葉かけはどうか?
保育者が子どもに、その子の年齢や発達に合った、豊かな言葉で語りかけていますか? 子どもの「なぜ?」「どうして?」に丁寧に答えていますか?
✅文字への興味を育む工夫は?
無理に文字を教え込むのではなく、掲示物や遊びの中で、子どもが自然に文字や数字に興味を持てるような工夫が見られますか?
4.安心できる空間と安全:子どもがのびのび過ごせるか?
✅清潔感と整理整頓:
園全体が清潔に保たれていますか?
おもちゃや教材が乱雑ではなく、子どもが自分で片付けやすいように整理されていますか?
✅安全への配慮:
危険な場所がないか、危険物の管理は適切か?
避難経路や緊急時の対応について明示されていますか?
✅休息スペースは確保されているか?
疲れた子どもがいつでも安心して休める場所がありますか?
5.園全体の運営体制:スムーズで安定した保育が行われているか?
✅一日のスケジュールは適切か?
子どもたちが活動と休息のバランスをとりながら、無理なく過ごせるような無理のないスケジュールになっていますか?
✅保育者の配置と連携:
子どもたちの人数に対して、保育者は十分な数配置されていますか?
園長や主任、保育士間の連携はスムーズに見えますか?
✅保護者との連携はどうか?
連絡帳や送迎時の会話、懇談会などで、園での子どもの様子を丁寧に伝えてくれるか?
保護者の意見に耳を傾けてくれる姿勢がありますか?
その他、園選びのヒント:
👉実際に園に質問してみる:
ECERSなどの評価スケールで保育の質を評価しているか、もし評価していればその結果について、直接園に尋ねてみるのも良いでしょう。
園が質の向上に意欲的かどうかの判断材料になります。
👉複数の園を見学・比較する:
いくつかの園を見学し、それぞれの「質」を上記のチェックリストの視点から比較することで、よりお子さんに合った園を見つけやすくなります。
👉直感を大切に:
チェックリストはあくまで参考です。
最後は、あなた自身が「ここなら安心して子どもを預けられる」と感じる、その直感を大切にしてください。
家庭でもできる!「最高の保育環境」を育むヒント

保育園や幼稚園選びはもちろん大切ですが、実は、家庭での環境や親子の関わりも、子どもの成長に大きな影響を与えます。
ECERSが示す「質の高い保育環境」の視点は、ご家庭での子育てにも大いに応用できるんです。
完璧を目指す必要はありません。
日々の生活の中で、少し意識を変えるだけで、お子さんにとってより豊かな成長の場を自宅でも作ることができます。
1. 空間を「子どもの遊び場」にする工夫
自分で「選べる」収納を:
おもちゃや絵本は、子どもが自分で出し入れしやすい高さに収納しましょう。
種類ごとに分けてカゴに入れるなど、「どこに何があるか」が分かりやすいと、子どもは自分で遊びを選びやすくなります。
「遊びのコーナー」を設ける:
リビングの一角に、絵本を読むスペース、お絵かきやブロック遊びができるスペースなど、簡単な「遊びのコーナー」を作ってみましょう。
子どもが集中して遊びに取り組める環境が整います。
2. 「言葉のシャワー」で好奇心を刺激する
絵本の読み聞かせを習慣に:
毎日数分でも、絵本の読み聞かせの時間を持ちましょう。
様々な言葉や物語に触れることで、語彙が豊かになり、想像力や表現力が育まれます。
「なぜ?」「どうして?」に寄り添う会話:
子どもが疑問に思ったことには、「なんでだろうね?」「どう思う?」と一緒に考え、対話を楽しみましょう。
子どもの言葉を丁寧に受け止め、豊かな言葉で返してあげることで、言葉の力を伸ばします。
実体験と結びつける:
公園でアリを見つけたら、「アリさんはどこに帰るんだろうね?」、料理中には「これはどんな匂いがする?」など、日常の出来事を言葉で表現し、五感を刺激する会話を心がけましょう。
3. 「多様な活動」で主体性を引き出す
遊びの選択肢を提示する:
「何して遊ぶ?」と丸投げするのではなく、「ブロックとパズル、どっちで遊ぶ?」など、いくつかの選択肢を提示して、子どもが自分で決める機会を与えましょう。
子どもの「やりたい」を応援:
子どもが「やってみたい!」と興味を示したことには、できる限り挑戦させてあげましょう。
たとえそれが少し散らかる遊びでも、安全に配慮しつつ、試行錯誤する過程を大切に見守ってください。
身近な素材で創造性を育む:
空き箱やトイレットペーパーの芯など、家にあるもので「何が作れるかな?」と一緒に考えてみましょう。
高価なおもちゃがなくても、想像力や創造性は無限に広がります。
4. 温かい「相互関係」を育む関わり
スキンシップと肯定的な言葉:
抱きしめたり、頭を撫でたり、目を見て「大好きだよ」「ありがとう」と伝えるなど、温かいスキンシップと肯定的な言葉をたくさん贈りましょう。
これが子どもの自己肯定感の基盤となります。
子どもの気持ちを受け止める:
子どもが泣いたり怒ったりした時、「どうしたの?」「悲しかったね」と、まずはその気持ちを受け止めてあげることが大切です。
感情を言語化する手助けをすることで、自己調整能力を育みます。
一緒に過ごす「質の高い時間」:
スマートフォンやテレビから少し離れて、子どもと心から向き合う時間を作りましょう。
一緒に笑ったり、遊んだりする中で、親子の絆が深まります。
まとめ:わが子の未来のために、賢い園選びをしよう
この記事では、ECERSという信頼できる国際的な評価スケールを用いた研究結果から、「質の高い保育環境」が、子どもの成長にどれほど大きな、そして長期にわたる良い影響を与えるかをご紹介しました。
✅ECERSは、単なる設備の評価にとどまらず、保育者と子どもの温かい関わりや、子どもの主体性を育む環境まで、多角的に「質」を測るものさしです。
✅質の高い保育は、子どもの社会性・情緒の発達、認知能力・言語能力の向上、そして就学準備や、生涯にわたる「学びの土台」を確実に築いてくれます。
✅日本の保育の質は全体的に良好な水準にありますが、特に「言葉と文字」「活動」の領域には、さらなる質の向上の可能性が秘められています。
保育園や幼稚園選びは、お子さんの成長の基盤を築く、とても大切な選択です。
もちろん、通勤の利便性や費用も考慮すべきですが、ぜひこの記事でご紹介したECERSの視点を参考に、子どもが毎日を笑顔で過ごし、将来へと繋がる豊かな経験をできる「質の高い環境」を見つけてあげてください。
そして、園での保育だけでなく、ご家庭での関わり方も、ECERSの視点から少し見つめ直してみることで、お子さんの成長をさらに力強くサポートできるはずです。
完璧を目指す必要はありません。
日々のささやかな工夫が、きっとお子さんの大きな糧となるでしょう。
わが子の豊かな未来のために、あなた自身が納得できる「賢い園選び」ができるよう、この記事がその一助となることを心から願っています。